Tanpopo4
たんぽぽ4 暴露実験
「たんぽぽ3」までに使用してきたプラットフォームであるExHAMが退役し、代わりにi-SEEP上に設置されたExBASと呼ばれる新しいプラットフォームを用いた曝露を行うことになった。
また、たんぽぽ2以降の曝露実験はJAXAの有償利用のスキームに乗って実施してきたが、たんぽぽ4以降ではi-SEEP上の装置のインテグレーターとして選ばれたSpaceBD社を介して実験を行うことになった。この変更に伴い、ExHAMでは1回の曝露で20個のたんぽぽ型曝露ユニットを搭載可能であったが、ExBASでは1回の曝露での搭載可能なたんぽぽ型曝露ユニットは7個になった。
2022年3月4日から、2022年12月中旬までの約半年間の宇宙曝露を実施する予定となっている。
微生物曝露実験
金属鞘微生物(Metallosphaera sedula)曝露実験:
紫外線透過を防ぐことなどからなどの宇宙耐性を有すると期待される金属の鞘を有する微生物を宇宙曝露し、微生物の宇宙生存性や惑星間移動の可能性などを明らかにする。
コケ胞子(Physomirella patens)曝露実験:火星や月などの地球外の惑星や衛星上での植物の生育を目指し、その最初としてコケが宇宙環境で生育するかを明らかにするための宇宙曝露を行う。コケの生育環の中でも耐性が強いと期待される胞子嚢を試料として選択した。
有機物曝露実験
ペプチド合成:
「たんぽぽ2」に引き続き、生理活性発現を目指し共重合体の生成や、ジペプチドからさらに長いペプチド生成の検証を行うためのバリエーションを増やした実験を行う。また、ExBASに変わってISS-JEM曝露部での設置位置も変わったので、アラニン線量計も搭載した。
国際宇宙ステーションを利用したアストロバイオロジー実験
「たんぽぽ2」の目標と開発状況簡易曝露実験装置ExHAMを利用
宇宙塵捕獲用シリカエアロゲル
曝露実験装置
「たんぽぽ2」新規アストロバイオロジー宇宙実験
「たんぽぽ」と「QCC」の2つの実験を統合し得られた研究成果を補完・拡充する
*シリーズ実験の為装置の基本設計は同じ
*2019年夏秋より1年間の曝露を予定捕獲実験
■ エアロゲル上の衝突痕
たんぽぽ計画(たんぽぽ1)では、大小さまざまな衝突痕(トラック)を得た。
粒子が明瞭なもの、そうでないものがあった。■ エアロゲル基材の変更
たんぽぽ
●疎水性表面
たんぽぽ2
●親水性表面のエアロゲルを新規に作成し追加
●「海洋天体プリューム捕集分析」へ向けた改良たんぽぽ型暴露実験
[微生物・有機物、窓材あり]
微生物
放射性耐性菌:
シアノバクテリア:
菌の厚さに依存した生存性
表面の菌が防御剤となり内側の菌は生存遮光試料は蘇生、増殖・分化能を確認
太陽光照射環境では、波長依存が強そうたんぽぽ2:
窓材の変更により、波長依存性を確認
試料厚さのバリエーションを増加有機物
アラニン線量計:
紫外線光量測定に成功
試料容器内では、ほぼ均一な照射を確認ジペプチド生成が示唆
たんぽぽ2:
ジペプチド生成のさらなる検証
同位体ラベルによる生成確認の精度向上
共重合体の生成を検証(生理活性発現へ)
ジペプチドからさらに長いペプチド生成へ
有機物
アミノ酸・前駆体:
複雑有機物の宇宙環境耐性を確認
グリシンが地上実験による予測より安定
低分子前駆体であるヒダントインが地上実験による予測より不安定
波長依存性
(吸収スペクトルと太陽光スペクトルの積)
試料の蒸気圧
(ヘキサトリアコンタン膜厚との関係)
たんぽぽ2:
ヘキサトリアコンタン膜厚のバリエーションを増加
窓材なしの曝露の追加→QCC型曝露
- “たんぽぽ”よりの継続的な環境評価
- 熱ルミネッセンス放射線線量計
- アラニン紫外線線量計
- バイメタル温度計(画像解析)
QCC型曝露実験
主に炭化水素(特にQCC)に対する曝露実験からは、
炭素質隕石物質中の不溶性有機物(IOM)に共通する性質の獲得
急冷窒素含有炭素質物質
研究対象の拡大
炭素質ナノ粒子の宇宙風化と星間有機物進化の実証研究実験生成有機物の宇宙曝露による宇宙ダストの性質の理解
試料数の増加
64→100曝露面裏側の利用
研究テーマ1
小天体有機物の宇宙曝露実験
担当:癸生川陽子 (横浜国立大)隕石有機物や模擬物質の構造変化を調べ、宇宙風化の影響を明らかにする
- 隕石、フミン酸など
研究テーマ2
窒素含有炭素質物質の宇宙曝露実験
担当: 遠藤いずみ、左近 樹(東京大)新星周囲で形成される赤外特性を良く再現する急冷窒素含有炭素物質を曝露し、原始太陽系有機物との比較を行い、終焉期の恒星起源有機物が始原的な太陽系有機物の一部なる仮説の検証を行う
- 急冷窒素含有炭素質物質
研究テーマ3
アミノ酸およびその関連物質の宇宙曝露実験
担当:小林憲正(横浜国立大)宇宙に存在しうるアミノ酸関連有機物の宇宙塵環境下での安定性と構造変化を明らかにする
- グリシン、模擬星間有機物
スケジュール
12019.4
実験装置引き渡しTeam→JAXA→NASA
22019.7.26
打ち上げ
32019.8.8
曝露開始
42020. 夏~秋
曝露終了
52020. 秋~冬
引き渡し・分析開始
プロジェクトチーム
© TANPOPO Project